(写真)前列左より李恩京氏、ヘルマワチ氏。右から二人目、プログラム代表者。
2007年07月20日
アジア太平洋学術会議でプログラムの成果をアピール
(写真)前列左より李恩京氏、ヘルマワチ氏。右から二人目、プログラム代表者。
2007年05月15日
沖縄で国際会議が開催されます -- 21st Pacific Science Congress
21st Pacific Science Congress
14日午後に開催される Gender, Science and Technology の会合に
小川眞里子と力武由美が参加予定です。
詳しくは、こちらからご覧になれます。
URL: http://www.psc21.net/
終了後に、会議の模様をご報告するつもりです。
2007年03月08日
Summary Chart of Gender Equallty Measures in Asia
Summary Chart of Gender Equallty Measures in Asia
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Education in Asia
Education in Asia
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アジアにおける「女性と科学/技術」ネットワークの課題と展望:Future Vision of the International Workshop on "Women and Science/Technology" Network in Asia
アジアにおける「女性と科学/技術」ネットワークの課題と展望
中部大学, 日本
第3期科学技術基本計画(2006-2010)には、科学技術の「国際活動の戦略的推進」の一つとして「アジア諸国との協力」が挙げられ、「アジア諸国との科学技術コミュニティの強化を図る」ことが謳われている。しかし、そこでは女性科学技術者の連携にまで踏み込んでおらず、女性科学技術者の活動は反映されにくい。そのような中、アジアにおける「女性と科学/技術」のネットワーク構築の必要性を日本から発信するべく、本国際ワークショップは開催された。
本国際ワークショップでは、韓国、中国、台湾、インドネシア、インド、および日本のスピーカーが、科学全般、物理学、医学、科学/技術と女性の政策、ICT産業など、様々な話題を提供し、活発な議論がなされた。科学/技術の諸分野を横断し、アジアにおける女性科学技術者をめぐる状況を包括的に論ずる初めての場となった。これは、アジアにおける「女性と科学/技術」のネットワーク構築の第一段階として評価できるだろう。
今後は、アジアにおける「女性と科学/技術」のネットワークに関するサイトをWEB上に開設し、情報交換を続けていくことが望ましい。
ネットワーク構築の第二段階として、性別統計データの収集・整備を日本から提案したい。「女性と科学/技術」の研究・実践では、性別統計データを収集し(定量的調査)、現状を正確に把握することが不可欠であるが、アジアにおいてはいまだ統一的な統計データが存在しない。性別統計データの整備を進めつつ、女性の科学技術分野への参入を妨げている原因を明らかにし、アジア各国の比較の中から女性の科学技術分野への進出をめざす方途を探っていきたいと考える。
具体的には、ジェンダー平等の道具として性別統計を駆使するECのストラテジーを援用し、次のように統計整備を進めていきたい。
(1)国別統計プロファイルの作成
まず、各国の既存のデータを確認し、利用可能な性別データを活用する。その過程において、各国のコンテクストや女性科学技術者の状況を考慮しつつ、アジアにおいて有効なジェンダー指標を発展させていきたい。
参照すべき先行研究として、ECのヘルシンキ・グループによるレポートを挙げておきたい。
National Policies on Women and Science in Europe
Collection of statistical indicators on women in science | Design |
Overall presence of women in the population, in the workforce, in education and in research | Bar Chart |
Female graduates ISCED5A by field of study Female researchers in HES by field of study Field of study: NS: Natural Sciences ET: Engineering and Technologies MS: Medical Sciences AS: Agricultural Sciences SS: Social Sciences H : Humanities | Pie Chart |
Relative share of women & men in a typical academic career | Scissors Diagram →Leaky pipeline |
Funding and success rates | Funding Table |
(2)各国の性別統計データの比較・分析
国別のデータを比較・分析し、アジアの女性科学技術者をめぐる状況を明らかにする。統計をアップ・デートすること、および、新旧のデータを比較・検討しつつ女性科学技術者政策の進展を評価することが肝要である。
参照すべき先行研究として、次のブックレットを挙げておきたい。
She Figures 2006
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本ワークショップへのコメント
本ワークショップへのコメント
まず、なによりも、本ワークショップは、大きな社会的意味があるものであると考えられる。アジアでの科学技術におけるジェンダーの問題への取り組みは、すでにいくつかの試みはなされてきたが、社会的に大きな理解が得られてきたわけではなく、まだ議論の枠組みや検討のための基盤が設定されたばかりとであると考えられる。それをアジアでのネットワーク化を試みるなかで、さまざまな角度から検証しようというこのプロジェクトは、今後さらに大きな成果が期待できる。
このワークショップでは、女性を科学技術にどのように参加しているか・させるか、キャリアとしての科学技術に女性はどのように参加しているか、もしくは女性・女子生徒・学生を、いかに科学(技術)教育にエンカレッジするか、などさまざまな切り口で、参加各国・各地域からの報告があり、活発な議論が展開された。これは、アジア諸地域からの、「科学技術に関する『エンパワメント』の状況」についての報告であったと考えられる。
ここでは各論を紹介するわけにはいかないが、それぞれにお国柄や政治体制の違い、経済状況の違いなどのなかで、女性・男性の関係性は、一様に定義できるわけではない。しかも宗教的・社会的・文化的な背景に、さまざまな規定性を受け、各種の制約をされているなかで、科学技術との女性との関係について、このようなネットワークを形成することを通じて、相互に理解を深めることは、今後のエンパワメントに対して、重要なステップとなることは間違えないだろう。各国の状況を、可能な限り数値化するなど、相互の理解をより深めるためのデータ的な総覧を作成することが望まれる。またすでにさまざまな形でのエンパワメントの試みがされていることが報告されている。これらは、相互に刺激的であり、事例としても他の文化圏や地域に普遍化することの出来るものもあると考えられるので、科学技術に関する女性のエンパワメントの事例集を作成するなら、これも政策的な施行が試みられるさいに、相互に参考にあるものと考えられる。
今回、実に興味深いこのワークショップに参加をさせていただき、大きな刺激と、さまざまなエンカレッジメントを感じた。このままでは、参加しただけで、あまりに貢献がないので、ここで小さな疑問を提起して、今後のこのワークショップのための議論の展開ために、ささやかなネタだしをさせていただきたいと思う。
ここでの「疑問」は、以下のとおりである: 女性のエンパワメント自体には、全く問題がないと考えるし、さまざまな社会的障害を乗り越えて、取り組まれるべきことであると考える。しかし、「科学」そして「技術」そのものは、問われなくてもよいのだろうか。エンパワメントして入手する「科学」や「技術」とは、単に「(便利な)道具」、「社会的な(上昇の)手段」としてだけ、考えられるものではないはずだ。女性・ジェンダーの関係は、女性が参加・参入することで、何か、本質的に変るのではないかと考えている。
これはいわゆる懸念であり、杞憂であることを願うのだが、例えば、嬉々として物理を学び、化学実験に心をときめかせ、生命の神秘や自然の蘊奥を探る、そんな若く知的で耀いているアジアの女性たちが、オッペンハイマーのように、アインシュタインのように、オットー・ハーンのように、そしてマンハッタン計画に集った若き「男性」物理学者たちのように、ある国家の巨大プロジェクトに編成され、原爆のような、ナパームのような、ダイオキシンのような、恐怖の兵器を開発・生産するようになってしまったとすると、それは、悪夢である。
女性が社会的な上昇をするために、もしくは生活のための最低の知識やサバイバルのための能力として、科学技術を身につける、というのは、全く正しいだろう。ただその際、そのような科学技術は、単に「道具」や「手段」として想定されるだけのものなのだろうか。また上昇やサバイバルには、競争相手や敵対者が居る。ある種の構造的なしくみに、科学技術は組み込まれていることにも、留意しなくてはならないだろう。
近年、「女性兵士」もしくは「女性の軍事動員・軍事化」という概念が問題化されてきている。女性の軍事動員は、はたして、「エンパワメント」の名の下に、嬉々として為されるべきことだろうか?女性の軍事化は、大きな議論を呼んでいる。女性を軍事動員することで、本質的な戦略として、「軍事そのものの平和的移行(女性化)」を、目指すというシナリヲも考えられる。
では、「科学技術への女性のエンパワメント」は、どうだろう?さまざまにネガティブな面もあわせ持ってしまっている現代の科学技術にたいして、女性のエンパワメントを目指す者たちは、どのような警鐘をならし、どのようにポジショニングをしながら、進んだらよいのであろうか。
今後の展開には、このように、「科学技術は女性の参入によって、果たして、どのように変るのか?」、もしくは「一体、科学技術は、女性のために、よき方向に、変ることができるのか?できるとしたら、どのように?」といった疑問を、蛇足ではあるかもしれないが、投げかけておきたい。
以上、ここでの将来的な提言は、2点である:
1 この成果を、アジア各国・諸地域での、女性と科学技術についての、さまざまなデータ、そして取り組みの「見取り図」として、編纂・出版する。
2 科学・技術と女性・ジェンダーについて、科学技術のネガティブ面を女性・男性はどう関与するか、ジェンダー関係が変容するなかで、果たして、科学技術はどう変容するのだろうか、という観点より、「厚みのある記述」を目指す。
以上、僭越ながら、ワークショップへの参加の感想と、今後の議論のために、一助となれることを願う。
(塚原東吾・神戸大学・助教授、科学史・STS)
隣のおばさんもすなる物理というものを・・・
隣のおばさんもすなる物理というものを・・・
鳥養映子 山梨大学大学院医学l工学総合研究部
はじめに
「理科や数学は好き.でも理工系への進学はちょっと,,,」という女子高校生は少なくない.その「ちょっと」を乗り越える後押しをしよう,とういのが本稿の主題である.「ちょっと」にもさまざまな理由があろうが,まずは中高生やその親世代に対する情報不足を少しでも解消しようという動きが始まった.
科学・技術の世界の楽しさ,そこで生き生きと活躍している女性達の姿を女子高校生に知らせたい,高校生どうしが将来への夢を語り合いネットワークを作るきっかけにしてほしい,との願いをこめて,2005年8月に,独立行政法人国立女性教育会館(埼玉県)の全面的な協力のもと,合宿研修「女子高校生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜」(以下,夏の学校と略称.)を開校した[1].理工系進学を決めている生徒だけでなく,迷ったり敬遠したりしている方にこそ,多様な理工系の魅力を伝えたかったのである.
日本物理学会の呼びかけで,理工系のさまざまな分野の研究者,大学生,高校教員等22名が自主的に集まって始めたこの学校には,全国の39校から56名の女子高校生が参加し,講演,ポスターセッション・キャリア相談,自由討論,推理クイズなどのプログラムに興じた.この小さな取組から,思いがけず波紋が広がったのである.テレビニュース,新聞,科学雑誌等で報道されると,理工系学部のオープンキャンパスに女子高校生や母親の参加が増え,科学技術振興・人材育成の予算にも反映された.文部科学省委託事業として実施した平成18年度夏の学校には,早々に定員100名をオーバーする申込が集まり,10日目にして募集を打ち切らざるを得ないという反響であった.文部科学省が2006年秋に募集した「女子中高生理系進路選択支援事業」では、関西地区の研究者らによる「女子高校生春の学校_ジュニア科学塾2007 in 関西_(3月21〜22日)」を始め,大学,学会,女性会館等による実験教室,出前授業,ロールモデル提示等,12のプログラムが採択され,北海道から九州まで全国各地で独自の取組が始まっている[2].国際女性技術者・科学者ネットワークが世界規模でいっせいに開催した「理系に行こう! You can do anything !」東京会場(2006年4月)には200人を越える女子中高生と父母が集まり,10分野80人の女性科学者・技術者と将来の進路について熱心な質疑が行われたということである[3].これらの他に,石川県,青森県等,地方自治体が計画した地方色豊かな行事も実施された.
女子高校生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜
平成18年度女子高校生夏の学校(2006年8月17日〜19日,於国立女性教育会館)のプログラムを,企画側の意図を含めて紹介させていただこう[4].前年度の参加高校生からの希望に応えて,2泊3日に拡大して実験・実習を新たに加えるとともに,ポスターセッション・キャリア相談,講演後のディスカッション,感想発表の時間を拡大し,参加体験型プログラムを充実させた.
講演の部「科学・技術の世界の楽しさ」では,20歳代の若手企業研究員から,科学コミュニケーター,技術部門の管理職まで,いろいろな世代,専門分野,職業の講師7名が,科学・技術の世界の楽しさ,夢,自身の履歴や家庭生活などについて講演し,「研究者・技術者の世界はこんなに豊かでおもしろい」「理工系のどの分野に進んでもこういう楽しい世界がきっと見つかる.それを見つけるのはあなた!」という共通メッセージを伝えた.ちなみに講師の男女比率は現実と逆転させている.一方,理工系の学協会等によるポスターセッションでは,それぞれの専門分野の魅力を紹介し,その分野を専攻するにはどんな学科に進学したらよいか,志望大学にその分野があるか,将来その分野ではどんな職業があるかなど,学会ならではのキャリア相談に力を入れた.ブース数は前年の18から29へと増え,34名の専門家が,先端科学の実演を含む展示を話の糸口にして,高校生のさまざまな質問・相談に助言した.
実験・実習では,各学会の協力で.次の6分野の実験教室を開いた:「どうしてわかるの?音声認識のしくみ(電子情報通信)」,「来た,見た,わかった!〜携帯電話の電波から宇宙線へ〜(原子力,物理)」,「生命の不思議を科学する(発生生物,神経科学,分子生物)」,「ペーパーブリッジコンテスト〜少ない材料で強い橋を作ろう(土木)),「雪の結晶の実験〜人工雪を作って見よう(雪氷)」,「プログラミングをしてみよう〜ロボットを動かすためのプログラムは??(大学生企画,明治大学,東京都立大学)」.各自が大型,小型の実験装置を持ち込み,身近なテーマでの導入部から,実験を経て,先端研究のエッセンスまでを2時間で紹介する,密度の濃い時間であった.
例えば物理系の実験,「来た,見た,わかった!〜携帯電話の電波から宇宙線へ〜」では,まず身近な携帯電話の電波や遮蔽を手作りの発光半導体センサで「見る」ことから始め,宇宙線の飛跡をスパークチャンバと手作りの霧箱で観察して見えない電磁波や宇宙線の存在を確かめ,最後に先端の研究者達が挑む現代物理学の課題として,反物質・反粒子のなぞ,宇宙の誕生と未来までを,対話形式で紹介した。高エネルギー加速器研究機構から貸与されたスパークチャンバとカミオカンデで使われた巨大な光電子増倍管が迫力を添えた.3月頃から企画を練り,素核分野7人の新進気鋭の研究者達が,何度も打合せと予備実験を重ねて準備した計画である.いつも誰かが海外での実験や国際会議に世界を飛び回っているという多忙な研究者達が「どうしたら高校生を惹きつけられるか?」,「手作り霧箱で対生成を見せられないか?」とメールで相談し,寸暇を惜しんで集まった.この熱意が通じたのであろう.20人もの生徒が希望して,「女子高校生は物理嫌い?」の不安を払拭してくれた.
夏の学校で欠かせないのが女子学生の活躍である.企画段階から参加した学生達は,「高校生に楽しい思い出を持ち帰ってもらいたい.」,「自分が高校生だったらこんな企画がほしい.」と,我々の生真面目な提案に,厳しい注文やさまざまなアイデアを出してくれた.それらの意見は,講演講師の選定や実験・実習の構想に反映されるとともに,グループ対抗クイズや自由討論など学生だけで企画運営されたプログラムを作り出した.初日の夜は,アトラクション「仲間同士で推理ゲーム」で,理工系学生ならではの頭脳で解決する課題と体力ゲームとを組み合わせて,初対面の参加者のコミュニケーションと仲間意識を高めた.2日目の夜は大学生チューターをまじえた「自由討論」で,グループごとに思い思いの場所で寛ぎながら,高校生活,大学生活,受験,昼間の実験の感動など,深夜まで話こむ姿が見られた.最終日のクイズ大会「サイエンス・トリビアの泉」では,科学技術に因む設問が出され,グループで話し合って解答したあとに専門分野の協力者から解説があるなど,科学の知識を楽しく学ぶ工夫が満載されていた.また,講演「学生からのメッセージ」では,3名の学生,大学院生が,等身大の自分達を紹介しつつ,学生生活,研究生活の楽しさ,理系選択の醍醐味などを熱く語った,
この学校の内容は,科学技術振興機構(JST)サイエンスチャンネルで,オンデマンドで見ることができる[5].参加できなかった高校生にも,「理工系進学と,その先にある科学者,技術者という職業は,女性にとっても魅力的な選択肢のひとつである」というメッセージを伝えることができれば幸いである. また,新聞,雑誌,国外に向けNHK World Japan メWhatユs on Japanモ,(二ヶ国語), およびNHK短波放送「ラジオジャパンフォーカス」(日本語・英語を除く20ヶ国語)でも紹介された.
ロールモデルは隣のおねえさん
この3日間のプログラムは,実に110名(学生29名,講演講師8名を含む,会館スタッフを除く)に及ぶ研究者,技術者,学生,高校教員らの協力で実施された.これを,北海道から熊本まで22都道府県から111名の女子高校生が満喫した.参加者と企画運営者がほぼ同数という内容は,非常に効率が悪いように見えるかもしれない.しかし,付添の高校教員からの「大学の実験教室にはよく参加するが,助手から教授まで女性に会ったことがない.生徒にとって理学部,工学部にこんなに沢山の女性がいることが新鮮だった.」という感想に代表されるように,女性科学者,技術者を間近に見,身近な存在に感じてもらうことが,今の日本の状況では大切なのである.その意味でも,「隣のお姉さん」役でずっと付き添い,研修のガイド,遊びのリーダー,健康管理,心のケアまで担当した29名の理工系女子学生の役割は大きい.
会場には託児室を設け,講演者や企画運営者には,できるだけ家族参加を勧めている.講演者の1人はいつもの学会のように小学生のこどもとともに登壇し,家族全員で参加した講師もあった.休憩時間や懇親会には,家族も参加した.高校生にとって結婚や育児はまだ実感がわかないかもしれないが,豊かな個人生活を楽しみ,時には悩みながら,仕事に取組む研究者の姿に触れて,理工系の女性が特別な存在ではなく,ごく普通の隣人達であることを感じていただけたのではないかと思う.
参加した高校生の学年比は,1年生38%,2年生51%,3年生12%,このうち82%が理系進学希望者であった.50%が進路をまだ決めていない生徒達であった前年と比べて理系の割合が非常に高い.これは浮動層が迷っているうちに,定員超過で応募が打ち切られてしまった結果と考えられる.どのプログラムも好評であったが,特に「実験・実習」と「ポスターセッション・キャリア相談」は,それぞれ81%と69%が「非常に良かった」と回答し,体験的活動と,女性研究者との生の交流への関心の高さが浮き彫りになった.参加者の93%が,科学・技術に対する関心が「非常に強まった」,「強まった」と感じ,「女性が科学技術分野の職業を選択することに対する意識の変化があったか」,「理科分野へ進学後の学生生活に関する意識に変化はあったか」という問いに,それぞれ73%,78%が「前向きに考えるようになった」と回答した.
また,女性教育会館には,前年の参加者から「理学部に合格した.来年は企画側で協力したい.」という手紙も届いて,関係者を喜ばせている.参加した学生スタッフからも、研究者をめざす決心がついた、就職活動でアピールできたなどの、嬉しい報告があったことも付け加えたい.
ACTUA GIRLS
諸外国ではどんな活動が行われているのであろうか? 女性と科学技術に関する国際会議で,日本から「少女たちへの理系進路選択支援−研究者、教師、大学院生の取組み」が報告されると,参加者から「今頃?」と驚きの声があがったそうである[6].このワークショップでは,「少女たちの科学技術に対する興味を刺激する成功事例」としてカナダのActua Girlsの活動も紹介された.
ACTUAは,体験的活動を通じて科学の楽しさや,科学が日常生活の一部であることをこども達に知らせようというプロ不ラムを19年前から展開しているカナダの全国的ネットワーク機関である.年間22万人以上の児童生徒(6〜17歳)が,それぞれの地域で開かれる夏季キャンプ,学内ワークショップ,大学や研究所のアウトリーチ活動に参加している.これらのプログラムに参加したこども達は,83%が科学技術jに対してより自信がついたと感じ,75%が高校で選択科目の科学を履修したいと述べるなど,科学技術に対する態度や行動が大きく変わった[7].現在,全国25の大学,カレッジを地域拠点にして,375のコミュニティにおいて,それぞれ特色あるプログラムを支援し,さらにネットワークを拡大中である.活動は大学やカレッジのActua会員と,約1000人の大学生,高校生ボランティア(2005年の例)で支えられ,企業,政府,個人の経済的支援を受けている.
ところが,1993年から夏季キャンプへの女子の参加が減る一方であった.そこで,9年前(1998年)から女性の参加を増やす会員の取組を助けるための補助教材,研修,戦略など一連のNational Girls Programの開発を始めた.現在,訓練を受けた4000人以上の会員とボランティアが,全国300以上のコミュニティにおいて,女子科学クラブ(年間),女子キャンプ(夏季),女子ワークショップ,キャリアフェアー,その他のイベント等を開催している.全てのプログラムで,好奇心を刺激する体験的活動と,女性指導者との活気あふれる交流の機会が用意されている.これがActua Girlsで,2005年には4,000人,8年間の累積では25,000人以上の女子生徒たちが参加し,さらに発展中とのことである.アンケート調査によれば,女子だけのキャンプに参加した生徒の,参加前の理科に対する自信の程度(低,中,高の分布)は,共学キャンプ参加者と変わらない.女子だけのキャンプへの参加理由はまちまちだが,参加者の多くは女子だけの方が快適で参加・質問しやすいと期待し,参加後にますますその印象を強めている.さらに,女子だけのプログラムの成功は,Actua活動全体への女子の参加比率をも引き上げた[8].
一方アジアでは,韓国物理学会が,2002年から「女子高校生物理キャンプ」に力を入れている.毎年30〜80名の書類選考で選ばれた女子高校生が,3〜4人のチームを組んで全国の大学や研究機関の物理研究室を1週間探訪し,そこで行われている研究について学び,研究者の指導を受けながら基礎的な実験を体験する.その成果を2日間の全国キャンプに持ち寄って発表し,他チームの生徒や女性研究者,女子大学院生らとの交流を深める.優れた発表をしたチームは,国際会議や海外の研究機関におけるキャンプに参加する機会を得る.全国20の大学・研究機関が実習の受け入れに協力している.参加した高校生への直接の効果は勿論のこと,女性が科学に関心を示すこと,物理を学ぶことに対する韓国社会の空気が変わってきているそうである[9].
楽しい体験学習やイベントで理工系への関心を引き上げる活動と,先端研究に触れて専門分野への進学意欲を刺激する活動.これらは車の両輪として相補的に推進して行くのがよい.ねらいや方法は違うが,いずれも対象を女子に絞り,女性研究者や女子学生との生の交流の機会を持つことが,効果を高めていることに注目したい.
長い目で理工系の女子学生を育てよう
夏の学校に参加して「理工系志望に傾いた.」,「来年は大学生.学生企画委員になって,この感動を下級生に伝えたい.」と瞳を輝かせて話す高校生や,自分のことのように熱心に協力してくれた女子学生達の姿に,受け皿としての大学や社会の責任を,いっそう強く感じている.これまで理工系への進学をためらっていた女子高校生がそのためらいを乗り越えたら,我が国は将来の科学技術を担う豊かな人材を得ることになる.少子化と理科離れに対する理工系学部の危機感が追い風になっていることは寂しいが,それもよしとしよう.問題は,入学してきた女子学生が,将来にわたって活躍できる環境を作ることである.
本誌の読者は,学生を性で差別することなど思いもよらないから,特別な配慮は要らないと思われるかもしれない.しかし,いまだに就職の世話は男子学生を優先したり,「こどもができたらまさか続けないよね.」と口にしてしまったりする教員がいるという現実,「技術者に育児休業をとられたらやっていけない.」という中小企業のトップがいるという現実にも,目を向けていただけないだろうか.女子学生や卒業生にとって,キャリアの途中にはまだまだ大小の障壁があるのである.そんなとき,周囲のほんの少しの激励や支援,いろいろな選択肢を示せる相談相手があれば,多くの女性科学者・技術者は仕事を続けていくことができる.
我々は,「ポスドク1万人計画」から,人材育成は受け皿を伴わなければならないということ,それを他人任せにしてはいけないということを学んだ.女子中高生理系進路選択支援事業は,女子学生のキャリア教育の充実,とりわけ相談できる女性教員がいる環境作りと,女性科学者・技術者が活躍できる職場や社会環境の整備の3点セットで推進するべきである.
このような活動には,即効性を期待しないほうがよい.理工系への関心が高まれば物理を選択する高校生も増える.その中で物理を専攻する学生もおいおい増えるだろう.夏の学校に参加した高校生や大学生のこども達の世代には,隣のおばさんが科学者だったり技術者だったりするのが不思議でない,そんな時代がくればよいと思っている.
[1] 「女子高校生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜」,主催:日本物理学会,男女共同参画学協会連絡会,独立行政法人国立女性教育会館,日本学術会議「若者の科学力推進特別委員会」,独立行政法人科学技術振興機構. http://www.nwec.jp/scoop/page05.php
[2]「女子中高生理系進路選択支援事業」採択機関の決定について, 文部科学省,
http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/001/06101905.htm
[3] 「理系に行こう!You can do anything!」
INWES Japan, http://www.granular.com/cp-bin/blog/files/INWES.pdf,
都河明子, http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~ishii/wg11/0502-INWES_J.pdf
[4] 「平成18年度女子高校生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜」, 主催:文部科学省,独立行政法人国立女性教育会館,男女共同参画学協会連絡会,日本学術会議科学と社会委員会 科学力増進分科会,http://www.nwec.jp/jp/scoop/page35.html,平成18年度文部科学省委託事業「女子高校生の科学技術分野に対する興味・関心の喚起及び進学意欲の向上を目指した合宿型事業」委託業務成果報告書,独立行政法人国立女性教育会館(平成18年10月).
[5] 科学技術振興機構サイエンスチャンネル「科学したい人応援するヨ!(14分)」,「女子中高生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜(29分)」,http://sc-smn.jst.go.jp/ (トップページの検索で,「女子高校生夏の学校」または「カテゴリーで探す」→「イベント情報」).
[6]「少女たちへの理系進路選択支援−研究者、教師、大学院生の取組み」,三浦有紀子,「OECD/CSTP科学技術人材に関するアドホックワーキンググループ「科学技術分野における女性」OECDワークショップ(2006年9月28日〜29日,オタワ)」.私信.
[7] "Effects of a Canadian Science and Technology Summer Camp Program: A Replication of Positive Results Across Three Years", Gail Crombie et al., Proceedings of the 10th CCWEST conference, June 10-13, 2004, http://www.actua.ca/en/pdf/actua/research/Crombie_CCWEST_2004.pdf. Actua Home page: http://www.actua.ca/en/index.html.
[8] "The importance of engaging girls in science and engineering, A study of Actuaユs all-girls camps", 2003, http://www.actua.ca/en/pdf/actua/research/Actua_All_Girls_Report.pdf, ACTUA Girls home page:
http://www.girls.actua.ca/,
[9] "Korean Physical Society Physics Camp for High School Girl Students", Youngah Park, AAPPS Bulletin 15, pp.28-29, 2005, http://www.aapps.org/archive/bulletin/vol15/15_3/15_3_p26p30%7F.pdf.
2007年03月07日
Summer School for High School Girls -for Scientists and Engineers of tomorrow-
Summer School for High School Girls
-for Scientists and Engineers of tomorrow-
Eiko Torikai
Affiliation, Country University of Yamanashi, Japan
To attract girls into science and engineering, the Physical Society of Japan (JPS) has organized the Girls’ Science Summer School in August 2005 in collaboration with the National Women Education Center (NWEC), Academic Societies on Science, the Japan Inter-Society Liaison Association Committee for Promoting Equal Participation of Men and Women in Science and Engineering (EPMEWSE).
The purposes of this camp were providing an opportunity to interact with actual women scientists and engineers to know how they are enjoying their jobs and lives as well and supporting networking of girls who are interested in S&T. There were 56 girls having enjoyed 2 days camp; lectures by scientists and engineers, overnight discussions with each other and tutors of women graduate as well as undergraduate students. 20 women graduate and undergraduate students assist the program.
The 2-nd Summer School for High School Girls held on Aug. 2006 has been organized by NWEC as a MEXT commissioned project in collaboration with Science Council of Japan.
In this school, there were 111 high school girls attended and enjoyed the following program:
- 7 lectures by scientists, engineers, technicians, and students
- 6 experiments by academic societies
- 29 booth of career counseling by academic societies.
To our pleasant surprise, the small stone, that has been thrown by voluntary efforts of scientists, high school teachers and students in the beginning, creates ripples in the society and calls public concern on encouraging girls into S&T. In 2006, the MEXT got started the new project for encouraging junior high school and high school girls into S&T. In this project, MEXT offers 35 MJPY to support local events. It is now open for competition.
Both schools were broadcasted widely by the NHK TV program of the News-10 in 2005, and NHK International Radio Program of the World Japan “What’ on Japan” in 2006. In this Symposium, I show you these programs. One can also watch the TV programs that introduce the Second Summer School for High School Girls – for Scientists and Engineers of Tomorrow – on demand from the Science Channel HP recorded by the Japan Science and Technology Association (JST) [1].
Before planning the first summer school in 2004, we were reluctant to propose an all-girls program with atmosphere of “All-girls program may cause reverse discrimination.” In Oct. 2004, Asian leaders on Women in Physics got together in the Round Table Discussion in Asia Pacific Physics Conference (APPC9) . There, we have learned the activity of the Physics Camp for High School Girls Students by Korean Physical Society in the round table discussion on Women in Physics [2]. Encouragement by Prof. Youngar Park, a chair of KPS gender equal participation committee, pushed us to confront the negative opinions.
On the contrary, they have stimulated by our nation-wide survey concerning the situation and consciousness of scientists and engineers on women participation into physics. They have conducted the similar survey and has received response more than 80% of members. The survey result by KPS was reported in the International Conference on Women in Physics in May 2005 (Rio de Janeiro) [3].
[1] JST Science Channel http://sc-smn.jst.go.jp/
[2] БgKorean Physical Society Physics Camp for High School Girl StudentsБh, Youngah Park, AAPPS Bulletin 15, pp.28-29, 2005, http://www.aapps.org/archive/bulletin/vol15/15_3/15_3_p26p30%7F.pdf
[3] AIP Conference Proceedings: Women in Physics, 2nd IUPAP Int. Conf. on Women in Physic, Rio de Janeiro, May 23-25, 2005.
[DOWNLOAD]
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2007年03月06日
Report on 2004 KPS-ASML- WISE Physics CAMP
Comments on the “KPS Physics Camp for High School Girl Students”
Youngah Park
Department of Physics, Myongji University, Yongin, 449-728, Korea
The Women in Physics Committee of KPS annually organized physics camp for high school girl students since the summer of 2002. The aim of this camp is to give them an opportunity to do work and interact with working physicists and enhance smart girl networking.
The KPS physics camps have been successful in terms of attracting many enthusiastic girl students and enhancing their interests in physics. Also, Korean physics community became to notice the importance of this kind of activity. To draw many girl students in various regions of the country, the KPS co-organized physics camp with the WISE (Women into Science and Engineering) center, which has a network system between girl students interested in science and mathematics. Also from 2004 to 2006, ASML Trust supported the summer camp.
Physics summer camp for high school girl students successfully provided high school girl students with valuable experiences to do work and interact with working physicists and thereby enhance smart girl network system. The program processed with two parts. At the first part, teams consisting of three to four students visited excellent physics research laboratories in universities and research institutes located in diverse parts over Korea. They explored what’s going on in each laboratory and executed some basic experiments at hands. In the mean time, high school girls could meet working physicists and get a deep touch with science itself. The second part consists of on-site camp where they made oral and poster presentations about what they learned and what they did in the laboratories they visited. Their presentations were evaluated and outstanding teams are awarded. Also the champion team of 2004 Physics camp was given the privilege to have a study trip to Netherlands and to participate in the Launching Conference of World Physics Year 2005, which was held in January in UNESCO, Paris.
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2007年03月05日
Education in Asia: A Comparative Perspective
Education in Asia: A Comparative Perspective
Akiko Kamogawa
Research Fellow, Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)
本報告は、アジアにおける女性の教育と科学技術に関するデータ収集の現況と今後整備する上での課題について明らかにするものである。殊に、教育のアクセスとコース選択という観点から、女性の教育と科学技術に関するデータ収集する上での視座を提供しようと試みた。本報告の概要は以下の通りである。
まず、女性の教育と科学技術に関するデータ収集のフレームワークとして、教育と職業との関係性を図示した。次に、本ワークショップにおいて、各報告者から紹介されたデータについて、アクセスとコース選択という観点から分類した上で、既存のデータの特徴をまとめた。特に、男性優位のコースと女性優位のコースに分けられる、コース選択に関するデータについて、日本の事例を挙げながらその収集状況を示した。最後に、結論として、第1に、各国の教育制度の類似性と相違性を理解すること、第2に、各国の詳細なデータを改めて収集すること、第3に、それらを比較分析しうるまでに整備することという3点を挙げた。
